将来は歯列矯正が必要?子どもの歯並び・何歳からどう向き合うべき?

歯並びの悩み

はじめに

子育てをしていると、「この子の歯並び、大丈夫かな?」と不安になる瞬間は誰しも一度はあるのではないでしょうか。特に乳歯が生え揃い、永久歯への生え変わりが始まる時期になると、歯の隙間やガタガタの並びが目につくようになります。将来的に歯列矯正が必要になるのでは…と考え始める親も少なくありません。
実際、近年は歯列矯正を受ける子どもが増えています。これは、見た目の問題だけでなく、「正しい噛み合わせ」や「将来的な虫歯・歯周病の予防」といった“健康面”の理由も大きな要因です。今回は、子どもの歯並びについて、いつからどのように向き合えばよいのかをわかりやすく解説します。

子どもの歯並びは何歳ごろからチェックすべき?

結論から言うと、子どもの歯並びについて意識し始めるのは「3歳頃」からがひとつの目安です。3歳を過ぎると乳歯がほぼ生え揃い、顎の発達や噛み合わせの状態がある程度見えてくる時期になります。
また、6歳以降になるといよいよ永久歯への生え変わりがスタートします。前歯や奥歯などが次々に生え変わるため、この時期には歯科医院で定期的にチェックしてもらうことが重要です。歯並びの乱れの「予兆」を早期に見つけられれば、矯正が必要になったとしても簡単な処置で済むケースが多いのです。

歯並びが悪くなる主な原因とは?

子どもの歯並びに影響を与える原因には、さまざまな要素があります。

①遺伝的な要因

顎の大きさや骨格、歯のサイズなどは親から遺伝することが多く、両親のどちらかが歯並びに問題を抱えていた場合、子どもも同様の悩みを持つ可能性があります。

②生活習慣や癖

長期間の指しゃぶり、頬杖、舌を前に出す癖(舌突出癖)、口呼吸、うつぶせ寝など、日常の何気ない癖が歯並びに影響を与えることがあります。

③食生活の変化

現代の食生活は柔らかい食べ物が中心になりがちで、顎をしっかり使う機会が減っています。その結果、顎の発達が不十分になり、歯が並ぶスペースが足りなくなることもあります。

④乳歯の早期喪失

乳歯は永久歯が正しい位置に生えるための“ガイド”の役割を果たしています。しかし、虫歯や外傷などで乳歯を早く失ってしまうと、隣の歯が空いたスペースに倒れ込み、永久歯が正しい位置に生えるスペースが足りなくなることがあります。その結果、歯の重なりやすき間、噛み合わせのズレなど、歯並びの乱れにつながるリスクが高まります。

「矯正が必要かも?」と思ったらどうする?

歯並びが気になったら、まずはかかりつけの歯科医院、または小児矯正を行っている歯科医に相談してみましょう。専門的な視点で、現在の歯や顎の状態をチェックし、必要に応じて今後の対応をアドバイスしてくれます。矯正治療が本格的に始まる前にも「予防的矯正」や「経過観察」の段階があります。
例えば、顎の成長を促す装置を使って、歯が並ぶスペースを確保する「床矯正」などは、乳歯列期や混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)から開始されることがあります。矯正治療は「早ければいい」というわけではありませんが、発育を生かせる小児期に始めることで、成人矯正よりも負担を減らすことができるのも事実です。

矯正治療は何歳頃から始めるのがベスト?

矯正を始めるベストな時期はお子さまによって違いますが、永久歯が生え始める小学校低学年の頃に、一度専門医へ相談することをおすすめします。矯正治療は大きく2段階に分かれており、それぞれで治療の進め方や目的が変わってきます。

第一期治療

対象年齢:6〜12歳頃
目的:顎の発達を助け、歯がきれいに並ぶスペースを作ること。

第二期治療

対象年齢:12歳以降(永久歯がすべて生えそろってから)
目的:ワイヤーなどで歯の位置を正しく整える。

歯並びを整えることのメリットとは?

歯並びを整えることは、見た目だけでなく、以下のような多くのメリットをもたらします。

①虫歯・歯周病の予防

歯と歯の隙間が整うことで、ブラッシングしやすくなり、口腔内を清潔に保ちやすくなります。

②発音が明瞭になる

前歯の噛み合わせや歯並びが整うと、舌の動きや空気の流れがスムーズになり、発音がより明瞭になります。特に「さ行」や「た行」などは前歯の位置が重要で、歯並びが乱れていると正しい音が出しにくくなることがあります。

③正しい噛み合わせで消化を助ける

歯並びが整うとしっかりと噛めるようになり、食べ物を細かく砕いてから飲み込めるため、胃や腸への負担を軽減できます。噛む回数が増えることで唾液の分泌も促され、消化をサポートする働きも高まります。

④コンプレックスの解消・自信につながる

歯並びが整うことで、口元を気にせず笑顔を見せられるようになり、子どもの自己肯定感や社交性にも良い影響を与えます。

ご家庭でできる歯並びケアと予防

矯正治療の前に、家庭でできる対策もあります。以下のようなポイントを意識して、子どもの成長をサポートしましょう。些細な習慣の積み重ねが、将来の歯並びに大きく関わってきます。

  1. 食事でよく噛む習慣をつける
  2. 口呼吸を避け、鼻呼吸を促す
  3. 指しゃぶり・舌癖を早めにやめさせる
  4. 正しい姿勢を保つよう意識づける
  5. 定期的に歯科検診を受ける

まとめ

子どもの歯並びは、親御さんのちょっとした気づきや行動で将来が大きく変わる可能性があります。「まだ小さいから」「もう少し様子を見よう」と放置せず、気になった時点で一度歯科医院に相談することをおすすめします。矯正が必要かどうかは、お子さま一人ひとりの発達状況や生活習慣によって異なります。
永久歯が生えそろってからのスタートでも決して遅くはありませんが、早期にチェックすることで、将来のトラブル予防や悪い習慣の改善につながります。さらに、成長を利用した比較的簡単な治療で済むケースもあります。
お子さまの健やかな成長と美しい笑顔を守るために、今できることから始めてみませんか?